良い香りをご先祖様に供える気持ち 香(幸)を贈る=幸せを届ける、感謝とおもてなしの心
お香やお線香には、気持ちをやわらげ落ちつける作用があります。そのため、仏教のあらゆる宗派でお線香が用いられていますが、弔事ばかりでなく仏式では結婚式にもお線香を焚きます。香を贈ることは、香(幸)を贈る=幸せを届けるという意味につながり、古来よりお香を贈って焚くことはお祝い事では大切なこととされてきました。普段ご家庭でご利用になるのは、お釈迦様のお誕生日である花まつり、ご先祖様をお迎えするお盆やお彼岸、年中の邪気を払って新年を迎える大晦日のお清めなどがあります。
香りの思い出
香りを嗅ぐ事により、その時の記憶や感情が蘇る事を『プルースト効果』と呼びます。大脳辺縁系は食欲などの本能的な行動や、喜怒哀楽などの感情を司る所です。嗅覚はこの大脳辺縁系と直接結びついており、これは五感の中で嗅覚だけが持つ特徴です。つまり、香りは本能的な行動や感情に直接作用する、と言い換える事が出来ます。私たちが普段何気なく嗅いで楽しんでいる香りですが、香りと人間の記憶、情動には密接な関係があります。